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執筆者の写真Physioplus

プッシュアップエクササイズの方法と期待できる効果について

更新日:11月1日


プッシュアップエクササイズの効果と適切なフォームと難易度の調整方法について

はじめに


プッシュアップ(腕立て伏せ)は、上半身を鍛える自重トレーニングの中では基本的なエクササイズです。このエクササイズは自体重でおこなうため、場所を選ばずにいつでもどこでもできる簡単なエクササイズです。


しかし、そのエクササイズの方法や自分に合ったプッシュアップエクササイズの方法と期待できる方法について説明している記事は限られています。


この記事では、プッシュアップの期待できる効果や正しい実施方法、注意点、さまざまなバリエーションや自分のレベルに合った難易度の調整方法について詳しく説明していきます。


 

プッシュアップの期待できる効果


図1:エクササイズの方法と使用する筋群

プッシュアップは主に大胸筋や、三角筋(肩まわりの筋肉)、上腕三頭筋(二の腕裏側にある筋肉)などを上半身の筋力を効率良く鍛えることができる優れたエクササイズです。


また、体を支えて実施するため上半身の筋力だけではなく、体幹の安定性も要求されるため、エクササイズのみならず身体評価をスクリーニングする方法としても活用されています。[1],[2],[3]


図2:プッシュアップの期待できる効果

プッシュアップの効果に関する最新の研究によれば、以下のような重要な結果が示されています。


Kotarskyらは、プッシュアップエクササイズは筋力や向上させることを明らかにしました。この研究では、プッシュアップエクササイズが伝統的なベンチプレスのトレーニングと同等の効果を持つことを示唆しており、上半身の筋力向上に有効であると結論付けられています。[4]


別の研究では、プッシュアップの能力と心血管疾患のリスクが逆相関することが示され、40回以上プッシュアップができる人は、10回未満の人に比べてリスクが低いと報告されています。[5]


さらに、プッシュアップを含む筋力トレーニング全般が、糖尿病、高血圧、心血管疾患などの慢性疾患リスクを低減させることも強調されています。[6]


プッシュアップエクササイズの実施方法



ここからはプッシュアップエクササイズの実施方法について紹介していきます。



開始姿勢|スタートポジション


図3:プッシュアップ|正しい方法・ポイント(開始肢位)

両手は肩幅より少し広めに置き、手のひらを床につけます。

背骨をまっすぐに保ち、体は頭から足先まで一直線になるように姿勢を保ちます。



開始姿勢|スタートポジション


図3:プッシュアップ|正しい方法・ポイント(終了肢位)

ゆっくりと肘を曲げて体を床に近づけます。

肘が約90°になるまで下げて体重をコントロールしながら腕を伸ばして、開始位置に戻ります。


この一連の動作をまずは10回〜20回繰り返しおこなってみましょう!



対象レベルと回数・セット数の目安


  • 初心者:10回×1〜2セット

  • 中上級者:20回×2〜3セット


 

プッシュアップエクササイズのポイント・注意点


図3:図5」プッシュアップ|よくある間違ったやり方

プッシュアップエクササイズにおける一般的なよくある間違ったフォームはおしりが持ち上がってしまったり、腰が落ちて上体が反ってしまうような姿勢でおこなってしまうことです。


頭から足先までを常に一直線に保つことで効率よく上半身の筋肉や体幹の安定性を高めることが出来ます。


また、上腕の位置は肩が90°に近づくほど肩に負担がかかるため、体から45°の角度に保ち、肘を曲げて上体を下げることが理想的です。


最後に呼吸は下降時に息を吸い、上昇時に息を吐きましょう。


 

両手を置く位置による効果の違い


両手を置く位置による効果の違い

プッシュアップエクササイズのバリエーションとして手の置く位置によって異なる筋肉へ刺激を与えることができます。


標準的なプッシュアップでは胸や肩まわりの筋肉(大胸筋や三角筋)が活動するのに対して、手の幅を狭くすると、主に二の腕の筋肉(上腕三頭筋)を刺激しやすいとされています。


一方、手の幅を標準的な幅よりもさらに広げることで標準的なプッシュアップと比べて体幹や肩甲骨の安定性に関与する筋肉(前鋸筋など)の活動がより高いという報告があります。[7],[8]


これらのエクササイズのバリエーションは、異なる筋肉グループをターゲットにしているため、トレーニングプログラムに取り入れることで目的に合わせた筋肉を強化することができますが、まずは標準的なプッシュアップエクササイズに取り組み、正しいフォームを維持することが非常に重要です。



エクササイズの難易度の設定方法


エクササイズの難易度を調整する方法

通常の方法で難易度が高いと感じたり、フォームが崩れてしまい、エクササイズが正しくおこなえない場合はエクササイズの難易度を下げておこないましょう。


難易度を下げる方法としてもっとも簡単な方法は両膝を曲げて、膝をついておこなう方法が一般的です。


エクササイズの方法や注意点は通常の方法と同じです。決して、無理をせずに、適切なフォームでおこなえることを重視して自分に合った方法でエクササイズを実施してください。



エクササイズの難易度を調整する方法

Williamらは様々なプッシュアップエクササイズのバリエーションが運動中の身体の動きや力を科学的に解析し、どのような影響を与えるかの科学的根拠を提供しています。[9]


この研究によると、通常の方法は体重の64%の筋活動を示し、膝を立てて行う方法では48%、通常のプッシュアップに比べて筋活動が低くなることが示されています。


一方で、エクササイズの難易度を高めたい場合は、足が高くなるように台の上に乗せて行うプッシュアップでは、体重の70%の筋活動し相当します。


このように、難易度を調整することでウエイトトレーニングの計画を立てる際の参考情報にも繋がり、個々の目的や体力レベルに合わせて最適なプッシュアップの方法を選択することができます。



おわりに


プッシュアップエクササイズを効率的に効果的におこなうためには、単に回数をこなすだけでなく、適切な方法やエクササイズのバリエーション、難易度の設定方法などを自分の体力レベルに合わせて適切な方法を選択することが重要です。


エクササイズ実施中や実施後に筋肉や関節に不快感や痛みが生じる場合は、エクササイズを中止し、必要に応じて医師や専門家のアドバイスを受けることをお勧めします。



参考文献


  1. Cook G, Burton L, Hoogenboom BJ, Voight M. Functional movement screening: the use of fundamental movements as an assessment of function - part 1. Int J Sports Phys Ther. 2014 May;9(3):396-409.

  2. National Academy of Sports Medicine (NASM). (n.d.). Getting Better at Pushups. Retrieved from https://blog.nasm.org/nasm-guide-to-push-ups/getting-better-at-pushups.

  3. Zalleg D, Ben Dhahbi A, Dhahbi W, Sellami M, Padulo J, Souaifi M, Bešlija T, Chamari K. Explosive Push-ups: From Popular Simple Exercises to Valid Tests for Upper-Body Power. J Strength Cond Res. 2020 Oct;34(10):2877-2885.

  4. Kotarsky CJ, Christensen BK, Miller JS, Hackney KJ. Effect of Progressive Calisthenic Push-up Training on Muscle Strength and Thickness. J Strength Cond Res. 2018 Mar;32(3):651-659.

  5. Yang J, Christophi CA, Farioli A, Baur DM, Moffatt S, Zollinger TW, Kales SN. Association Between Push-up Exercise Capacity and Future Cardiovascular Events Among Active Adult Men. JAMA Netw Open. 2019 Feb 1;2(2):e188341.

  6. Yang J, Christophi CA, Farioli A, Baur DM, Moffatt S, Zollinger TW, Kales SN. Association Between Push-up Exercise Capacity and Future Cardiovascular Events Among Active Adult Men. JAMA Netw Open. 2019 Feb 1;2(2):e188341.

  7. COGLEY, ROBERT M.; ARCHAMBAULT, TEASHA A.; FIBEGER, JON F.; KOVERMAN, MANDY M.; YOUDAS, JAMES W.; HOLLMAN, JOHN H.. COMPARISON OF MUSCLE ACTIVATION USING VARIOUS HAND POSITIONS DURING THE PUSH-UP EXERCISE. Journal of Strength and Conditioning Research 19(3):p 628-633, August 2005.

  8. Kim YS, Kim DY, Ha MS. Effect of the push-up exercise at different palmar width on muscle activities. J Phys Ther Sci. 2016 Jan;28(2):446-9. doi: 10.1589/jpts.28.446. Epub 2016 Feb 29.

  9. Ebben WP, Wurm B, VanderZanden TL, Spadavecchia ML, Durocher JJ, Bickham CT, Petushek EJ. Kinetic analysis of several variations of push-ups. J Strength Cond Res. 2011 Oct;25(10):2891-4.

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